整形外科
特色
人間は約500万年前に二足歩行を始めたそうです。
サルが時々見せる二足歩行と違って、人間の二足歩行は正確には直立二足歩行と言って、とても洗練された歩行形態です。
直立二足歩行は大きな脳がある頭蓋を容易に支えることができ、器用な手を自由に使いながら歩くことができる理想的な移動形態です。
このことが人間の進化に大きく貢献しましたが、その反面、直立の姿勢によって体幹や下肢、とくに脊椎と股関節に大きな負担が生じるようになりました。
これが原因で人間は腰痛と股関節痛に悩まされてきました。
これらの脊椎疾患や股関節疾患は整形外科医がいつもの診療で扱う疾患で、整形外科とは直立二足歩行を正常に行わせるための運動器科ということができます。
もちろん、手の外科という分野があり、上肢の疾患全体を治療することも整形外科の守備範囲です。
私たちはこれらの疾患を治癒させるために、いや正確には治癒を手助けするためにさまざまな治療法を行っていますが、ただ治癒させるだけでは十分ではありません。
患者さんは体に負担の少ない、侵襲の少ない治療法を求めているので私たちもその期待にこたえる必要があります。
つまり私たちは必要最小限の検査で診断し、最小侵襲の治療法を行うことを心がけています。
現在、世界的に広まりつつある低侵襲手術はそのひとつの方法ですが、もちろん手術が必要ないときは保存的治療を行います。
つまり将棋の用語である最善手にならえば常に最小侵襲手を考えてうたなければなりません。
当科ではではさまざまな分野で低侵襲手技による手術や治療が行われていますが、とくに変形性股関節症など股関節疾患に対する低侵襲人工股関節置換術に重点を置いています。
これは筋肉を一切切開しない2箇所切開法という方法で、2004年5月から行っています。
2006年8月までに、初回人工股関節置換術をこの方法で155例行い、良好な結果を得ています。
この方法で手術を行うと、手術日翌日からリハビリすることが可能で、2~3週間で退院することができます。
手術後の傷痕も小さく、2箇所に残るだけでほとんど目立ちません。
現在では関東地方など遠方からの患者さんも増えています。
またあまり早く退院するのが不安という患者さんには回復期リハビリ病棟へ転棟し長期入院リハビリも行っております。
その他にも四肢の骨折や変形矯正、小児の整形外科など低侵襲治療を行っており、これからも患者さんにとってより負担の少ない、より侵襲の少ない治療法を提供していきたいと考えています。
特色
整形外科は人体の運動器官の病気や外傷(ケガ)を専門に取り扱う科です。
背骨・手・足など全身の運動器官を造りあげている、骨・関節・筋肉・靭帯・腱・脊髄・神経の病気、外傷(ケガ)による損傷、手足などの先天性疾患(生まれつきの奇形など)を治療し研究する学問です。
そして整形外科の治療は、単に病気やケガを治すだけでなく、運動機能を元に回復させることを目的とします。
不幸にして運動機能の回復が十分に得られなかったとしても、残った機能を最大限に活用して、元の状態に出来るだけ近く機能を回復させることも整形外科の大きな役割であります。勿論、この際リハビリテーション医療との協力が必要なこともあります。
又、運動機能の障害だけでなく、痛みを主とする疾患(俗に神経痛・リウマチなどと言われる病気)の治療を行うのも整形外科の主要な仕事であります。
特に当院では、変形性股関節症(股関節の軟骨が擦り減り、股関節が滑らかに動かないため痛みが出現する疾患)の治療に力を入れています。
変形が強く、痛みのために歩くこともままならなくなれば人工股関節置換術を行いますが、当院では、この手術の際に筋肉を切らずに手術を行っています。
そのため、手術翌日から歩行訓練を行うことができ、術後1週では大半の患者様が杖をもって歩行できるようになります。
スタッフ紹介
院長川上 守
- 略歴:所属学会等
- 和歌山県立医科大学卒業
- 医学博士
- 日本整形外科学会専門医
- 和歌山県立医科大学 名誉教授
- 認定資格
- 日本整形外科学会専門医
- 日本整形外科学会脊椎脊髄病医
- 日本脊椎脊髄病学会認定医
- 脊椎脊髄外科指導医
- 臨床研修指導医
部長山崎 悟
- 経歴・所属学会等
- 和歌山県立医科大学卒業
- 認定資格
- 日本整形外科学会認定専門医・スポーツ医・リウマチ医・運動器リハビリテーション医
- 日本リウマチ学会リウマチ専門医
- 日本リハビリテーション医学会認定臨床医
- 日本体育協会公認スポーツドクター
- 義肢装具等適合判定医
- 日本リウマチ学会リウマチ専門医
- 日本リハビリテーション医学会認定臨床医
- 日本リウマチ財団リウマチ登録医
- 中部日本整形外科災害外科学会評議員
- 臨床研修指導医
医師藤木 貴顕
- 経歴・所属学会等
- 平成26年3月 獨協医科大学 医学部医学科 卒業
- 認定資格
- 令和3年4月 整形外科専門医
- 日本整形外科学会 スポーツ医
医師神前 拓平
- 経歴・所属学会等
- 2016年 和歌山県立医科大学 卒業
医師古梅 祐
- 経歴・所属学会等
- 平成30年3月 福岡大学 卒業
手術実績 令和3年度
人工股関節置換術(再置換術を含む) | 106例 |
人工膝関節置換術(再置換術を含む) | 50例 |
脊椎手術(脊椎内視鏡手術を含む) | 122例 |
外傷および骨折 | 324例 |
その他 | 61例 |
研究実績
論文
論文
山根木 一弘, 中川 幸洋, 延與 良夫, 寺口 真年, 籠谷 良平, 米良 好正, 北山 啓太, 川上 守 | 頸椎除圧手術における術中誘発筋電図の振幅増大減少とそのタイミング 《脊髄機能診断学41巻1号 Page55-58. 2021》 |
中川 幸洋, 延與 良夫, 寺口 真年, 籠谷 良平, 米良 好正, 北山 啓太, 山根木 一弘, 川上 守 | 腰部脊柱管狭窄症の内視鏡下除圧手術における術中誘発筋電図の振幅増大現象とそのタイミング 《脊髄機能診断学41巻1号 Page50-54. 2021》 |
峯玉 賢和, 川上 守, 隅谷 政, 中川 雅文, 山本 義男, 松尾 咲愛, 北野 智子, 中川 幸洋 | 慢性疼痛に対する運動療法の効果とそのエビデンス 腰部脊柱管狭窄症に対する運動療法の効果とそのエビデンス 《Journal of Musculoskeletal Pain Research13巻2号 Page123-127. 2021》 |
学会発表
橋本 光司, 山崎 悟, 久保井 勇樹, 前田 孝浩, 星野 晃廣, 川上 守, 下江 隆司 | 緑膿菌による化膿性手関節炎の1例 和歌山医学 《2021.7》 |
星野 晃廣, 山崎 悟, 橋本 光司, 前田 孝浩, 久保井 勇樹, 川上 守 | 大腿骨転子部骨折術後の小転子骨片により皮膚障害を生じた1例 中部日本整形外科災害外科学会 《2021.9》 |
木村 遼、井戸本 弘人、坂野 元彦、山崎 悟、藤野 武英 | 2ヶ所切開法による人工股関節全置換術後の脱臼リスクと術前の股関節可動域との関連 日本リハビリテーション学会 《2020.11》 |
谷上 正純(済生会和歌山病院 整形外科), 野中 研人, 西岡 修平、岡田 紗枝, 山崎 悟, 松崎 交作, 下江 隆司, 橋本 忠晃, 坂田 亮介 | 尺骨肘頭骨折術後に生じた肘部管症候群の2例 和歌山医学 《2021.7》 |
久保井勇樹、川上守、山﨑悟、前田孝浩、橋本光司、星野晃廣、松崎交作 | 済生会和歌山病院におけるTHAの術後合併症 和歌山医学 《2022.2》 |
その他
- 和歌山放送 ラジオ健康相談「膝の痛みについて」 山﨑悟 令和3年6月21日~6月25日
- リビング和歌山 治療の最前線!専門医に聞くVol.7「骨の強さを知って予防しよう 骨粗しょう症による骨折」山﨑悟 令和4年1月29日