腎センター
特色
当院腎センターは1979年に開設以来、45年以上の歴史があります。
保存期慢性腎臓病をはじめ、透析導入から維持期、シャントトラブル等様々な腎不全患者さんに対応すべく、入院・外来透析の治療を行っています。
年間20人前後を新規に透析導入し、近隣病院から、整形外科疾患、消化器疾患、循環器疾患、脳血管障害、脊椎脊髄疾患、糖尿病、閉塞性動脈硬化症などの合併症治療を目的とした患者さんも多数受け入れており、地域の基幹病院として、透析医療の中心的機能を果たしております。
現在、当センターでは、血液透析、腹膜透析の腎機能代行療法はもちろん、下肢閉塞性動脈硬化症に対するLDL吸着療法、肝不全に対する血漿交換療法やビリルビン吸着療法、重症敗血症に対する持続的血液濾過、エンドトキシン吸着などのアフェレシス療法も行っています。
慢性腎臓病対策としての保存期腎外来では、薬物治療だけでなく、食事療法や生活指導にも重点をおき、当院主催の市民公開講座等、地域住民への啓発活動にも取り組んでいます。
当院では外来維持透析と入院透析を含め、常時50~60名の患者さんが透析治療を受けています。
病診連携システムを通して、周辺の医療機関から各種の腎臓関連疾患をご紹介頂いており、保存期腎外来には100名前後の患者さんが通院されています。
当院の大きな特徴は、末梢動脈疾患の血管内治療、下肢バイパス術、下肢切断術、骨折、心血管系疾患に対する治療目的で、和歌山県内および泉南地区の病院から数多くの慢性腎臓病(CKD)患者さんが紹介されてきます。
そのような患者さんの生命予後やQOLを少しでも改善させるために、当院では専門の各科と緊密な連絡を取りながら、適切な検査・治療を積極的に行っております。
さらに、7対1看護体制を維持した急性期病院としての役割も担っているため、院外・院内から依頼された急性腎障害(AKI)に対する血液浄化療法も実施しています。
外来診療日
- 腎臓病外来(火・木曜日)
→13:00~ - 血液浄化療法(月・水・金曜日)
→9:00~/14:00~ - 血液浄化療法(火・木・土曜日)
→9:00~
診療内容
- 慢性腎臓病の診療と生活指導
- 糸玉体腎炎ネフローゼ症候群、保存期腎不全の適切な管理・治療
- 末梢腎不全に対する透析療法(血液透析・腹膜透析)
- 肝不全に対する血漿交換療法、ビリルビン吸着療法
- C型肝炎ウイルス除去療法としてのDFPP(二重濾過血漿交換療法)
- 循環動態の不安定な腎不全や高サイトカイン血症を呈する病態に対しCHDF(持続的血液濾過透析)
- 下肢末梢動脈疾患、家族性高コレステロール血症に対するLDL吸着療法
- 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、Crohn病)に対する白血球除去療法
- 水電解質異常に対する治療
- 内シャントの新規作成術またはトラブルに対する手術、PTA(経皮的血管拡張術)
など、上記の一例以外にも診療しております。
主な検査・医療設備等
- 人工透析室
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2012年12月よりオンラインHDFを導入しました。
最新の人工透析装置や水処理システムを活用し、急性、慢性の腎不全治療に当たり、社会復帰へのサポートをしています。
治療としては、血液透析のみならずアフェレーシス(血漿交換療法・顆粒球吸着療法など)も行っております。 - LDLアフェレーシス
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当院では末梢循環障害により下肢の血行の悪くなった患者さんで特定の条件を満たしている場合、LDLアフェレーシスの治療を行っています。
LDLアフェレーシス療法は動脈硬化の改善や進行抑制、そして安定化が図られることにより、長時間続けることで実際に冠動脈疾患の発病や再発を防ぐことができるという研究報告があります。 - シャントPTA
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透析患者さんにおいて、いかにシャントを長持ちさせるかが、透析生活の質に大きく関わります。
当院ではシャントトラブルに対し、従来の外科的再建術に加え、経皮的血管内治療(PTA)を積極的に行っています。
スタッフ紹介
部長岡本 昌典
- 略歴:所属学会等
- 平成8年 岩手医科大学卒業
- 和歌山県立医科大学非常勤医師
- 医学博士
- 認定資格等
- 日本腎臓学会専門医・指導医
- 日本透析医学会専門医・指導医
- 日本泌尿器科学会専門医
- 日本臨床腎移植学会腎移植専門医
主な診療実績 令和3年度
保存期腎外来 | 約100名 |
血液浄化療法 | |
新規導入患者 | 10名 |
シャント関連手術 | 10件 |
PTA | 26件 |
血液浄化療法施行回数 | 7554件 |
LDL吸着療法 | 49回 |
その他業績
- 岡本 昌典 「日本の透析医療の現状と展望」 NPO法人 和歌山県腎友会 創立50周年記念誌