073-424-5185

〒640-8158
和歌山県和歌山市十二番丁45番地
TEL:073-424-5185 FAX:073-425-6485

片頭痛外来

受診予約について

済生会和歌山病院 脳神経外科では、専門外来を開設しております。
初診時に検査を行いますので、完全予約制とさせていただきます。
当日受診は出来かねます。
お電話、もしくは来院時に地域医療連携室までお問い合わせください。
受付時間:平日8:45~18:00 (木曜のみ8:45~17:30) 
診察日は火・水・木(午後)です。
※通常外来と同日になっておりますので、ご依頼の際は専門外来希望とお伝えください。

平日8:45~17:00

地域医療連携室までご連絡ください

また、普段かかっている医療機関がある場合は、治療歴も参考となりますので、紹介状をお持ち下さい。

それぞれ各症状の詳細はリンク先でご確認ください。

片頭痛外来のご紹介

はじめに

 2023年11月より片頭痛外来を開設しております。

 頭痛の原因は一説には300種類以上もあると言われています。その中でも頻度が高く生活の質を落としやすい片頭痛の治療は非常に重要と考えて「片頭痛外来」と標榜させていただきました。

 片頭痛と表記していますが、片頭痛をはじめとした慢性頭痛に対応しております。慢性的な頭痛は生活の質を著しく落とします。回数を少なくし、起こった時には速やかに引かせるように治療をご提案します。

 頭痛は一次性頭痛と二次性頭痛に分けられます。脳出血やくも膜下出血あるいは脳腫瘍など明確に原因があり検査で異常を指摘できる疾患による頭痛が二次性頭痛です。これは原因疾患を治療する必要があります(手術や点滴など)。一方で一次性頭痛は片頭痛、群発頭痛、緊張性頭痛など検査で異常は出てこない頭痛です。これらの頭痛は問診が命です。どのような性質の痛みか、月に何回起こるか、吐き気など他の症状を伴うかなど診断のポイントがいくつかあります。

但し、ほんの小さな脳腫瘍などMRIやCTを撮影しないとわからない疾患が隠れている場合もあるので、頭痛で悩んでおられる場合、少なくとも一度は画像検査を行うことをお勧めします。

片頭痛について

・こめかみあたりの片方が痛くなることが多いですが、どの場所でも起こりますし、左右両方あるいは真ん中が痛くなることもあります。目の奥が痛くなることも多いです

・光、音、匂いに敏感になります。明るい部屋が苦痛だったり、ちょっとした音が響いて頭痛がひどくなったり、食べ物や洗剤の匂いなどで気分が悪くなったりなど、五感が鋭敏になります。

・吐き気を伴うことが多く、嘔吐してさらにしんどくなる方も多いです

・女性の場合は月経周期に一致していることも多く、診断の一助になります。月経周期に合致する片頭痛はそれ以外の時期の片頭痛よりも症状が強いことが多いです。

月経痛の一部と考えている方も多いですが、適切な婦人科での治療を受けたにもかかわらず治らない頭痛は片頭痛かもしれません。その場合は片頭痛に特化した治療が必要です

・治療には頓服薬(痛くなった時に内服)と予防薬(毎日飲んで痛みの程度を和らげていき、回数も減らしていく)があり、週1回以上の発作がある方は予防薬使用が望ましいです

群発頭痛について

・左右どちらかに起こることがほとんどで、眼の奥やこめかみに非常に強い痛みが起こります。火箸でえぐられるような痛みと表現されます。涙や鼻水が出ることが多く、目の強い充血を起こすことも多いので見た目に激しい状態になります。

・だいたい15分から2時間くらいの発作が連日続きますが、1-2ヶ月くらいで発作がおさまります。これを数年周期で繰り返すのが特徴です

・群発頭痛に特化した薬はなく、片頭痛に準じた方法で治療を行います

緊張型頭痛

・いわゆる「肩こりからくる頭痛」で頭痛の中では一番多いものです。しかし上記2つの頭痛に比べて程度は軽い場合が多く、鎮痛薬に加えて塗り薬や湿布なども併用し適切な運動・休養を取ることで軽快することが多いです

・ただし中には慢性化したものもあり、その場合はじっくり治療する必要があります

・また、肩や首が痛いというだけで「緊張型頭痛」とは限らず、片頭痛の場合もあります。なかなか治らない後頚部、後頭部痛の場合は片頭痛の場合も少なくありません。

片頭痛の治療

非薬物治療

生活習慣の見直しが重要です

・睡眠時間を適切にとる(短すぎても長すぎてもダメです)

・頭痛を起こしやすい食べ物をできるだけ避ける(お酒、チョコレート、チーズ・ヨーグルト、ソーセージやハムなどの加工肉、柑橘類など)

食べ物が誘因にならない方もいますが、過敏に反応する方もおられます。習慣的に食べていたチョコレートをやめただけで頭痛が半分以下になった方もおられます

・頭痛体操などを活用し適度に体を動かす

・スマートフォンの過剰使用を避ける 

内服治療(頓服薬、予防薬)

頓服薬

一般によく使われる痛み止めの「ロキソプロフェン」などで効果の無い方では片頭痛に特化した「トリプタン系薬剤」を頓服に使用します。日本では5種類のトリプタンがあり、作用時間など少しずつ特徴があり、どれか一つを選択します。副作用が出たり、効果が薄い場合は他のものを試します。5種類のうちどれを飲んでも効く人もいますが、どれか一つだけ効く人もありますので順番に試していくことになります

・吐き気が強い方は吐き気止めも使用します

・漢方薬が合う人もいますので、数種類の中から試していきます

・ジタン系(レイボー)と呼ばれる新しい頓服薬もありますが、少しめまいやふらつきの副作用が出やすいので内服を工夫する必要があります。ただし頭痛を抑える効果は劇的なので合う人にはこれ以上ない頓服薬になります。

予防薬(内服)

・数種類の予防薬がありますが、一つずつ試します。当院では塩酸ロメリジンという薬を一番最初に試します。副作用が少なく基本妊婦さん以外は使用可能です(未成年でも使用できます)

・ビタミンB2も効果があるとされ、併用していく場合が多いです

・個人差はありますが少し眠気が出る内服薬もあり、体調や生活リズムを相談して少量ずつ試していきます(バルプロ酸、トリプタノールなど)

・降圧薬の一部に片頭痛抑制効果があり、高血圧がある方の場合は降圧薬変更することで片頭痛を和らげることが可能です。

注射による予防治療

・片頭痛の痛みの原因の一つとされている「CGRP」という神経伝達物質があります。三叉神経という痛みを伝える神経から放出される物質の一つで、これが作用して強い痛みを生じると言われています。このCGRPを抑える作用のある「CGRP抗体薬」とCGRPが作用する部分(受容体)を抑える「CGRP受容体抗体」の注射薬があります。

・1ヶ月に1本注射して発作を抑えていきます。

・従来の内服薬よりも効果が高く、内服薬のみで難渋した方でも頭痛が劇的に改善する場合も多くあります)月15回以上の頭痛がほぼ完全に治った方もいます。

・まず内服薬を試してからの使用になりますので初診時にいきなり使用できません。

 

最後に

「頭痛があるのは仕方ない」というのは間違いです。「頭痛が無い生活」が当たり前なのです。日々の頭痛に悩んでおられる方は一度片頭痛外来受診をご検討ください。

担当医プロフィール

医長

三木 潤一郎

経歴・所属学会等

平成12年 和歌山県立医大卒

認定資格等

日本脳神経外科学会専門医・指導医

日本脊髄外科学会認定医・指導医

ボトックス治療施行医(眼瞼けいれん・半側顔面けいれん・痙性斜頚・上下肢痙縮)

ICD(インフェクションコントロールドクター)

脊椎脊髄外科専門医

臨床研修指導医