三叉神経痛・片側顔面けいれん・舌咽神経痛 専門外来
受診予約について
済生会和歌山病院 脳神経外科では、三叉神経痛・片側顔面けいれん・舌咽神経痛の専門外来を開設しています。
初診時にしっかり検査を行いますので、完全予約制とさせていただきます。
お電話、もしくは来院時に地域医療連携室までお問い合わせください。
受付時間:平日8:45~18:00 (木曜のみ8:45~17:30)
診察日は火・水・木(午後)です。
※通常外来と同日になっておりますので、ご依頼の際は専門外来希望とお伝えください。
- 平日8:45~18:00
(木曜のみ8:45~17:30) - 地域医療連携室までご連絡ください
- 電話番号
- 073-424-5186(直通電話)
073-424-5185(代表電話)
また、普段かかっている医療機関がある場合は、治療歴も参考となりますので、紹介状をお持ち下さい。
それぞれ各症状の詳細はリンク先でご確認ください。
三叉神経痛・片側顔面けいれん・舌咽神経痛 (3疾患の症状まとめ)
はじめに
三叉神経痛・片側顔面けいれん・舌咽神経痛の症状は、顔面の痛みやけいれんであり生命にかかわるものではないので、医療者も患者周囲の人も軽く見る傾向にあります。しかしこれらの症状はいずれも患者様本人にとっては耐え難い苦痛です。
したがって適切な診断と、それをもとにして患者様自身が自分の希望に沿った治療を選択できるように、内科的治療と外科的治療の両者について客観的で詳細な説明を行うことが求められます。
済生会和歌山病院脳外科では、三叉神経痛・片側顔面けいれん・舌咽神経痛を疑う症例について医科・歯科問わず紹介をお受けする専門外来を開設しています。まずは鑑別診断を行い、治療について詳しく説明を行います。その上で患者さんご本人が納得して選択した治療を行います。
原因について
三叉神経痛・片側顔面けいれん・舌咽神経痛は、神経血管圧迫症候群と総称され、頭蓋内で脳神経が脳血管に圧迫されていることが原因(図1A、図1B、図1C)で起こる症候群です。脳外科では機能的脳神経疾患(脳外科手術で治療可能な疾患)に分類されています。
図1A 三叉神経痛の手術所見図 三叉神経に脳血管が圧迫している
図1B 片側顔面けいれんの手術所見図 顔面神経に脳血管が圧迫している
図1C 舌咽神経痛の手術図 舌咽神経に脳血管が圧迫している
頻度について
決して稀な疾患ではなく1)、一般の医科・ペインクリニック・眼科・耳鼻咽喉科・歯科診療所などでも診療される機会は多いかと思います。
1)三叉神経痛・片側顔面けいれんの頻度は約10人/10万人、舌咽神経痛は三叉神経痛の70分の1
症状について
三叉神経痛:顔面や口腔の一部に瞬間的な激痛が繰り返し起こります。顔や口腔の特定の部位に触れると痛みが誘発されるのが特徴です。
三叉神経痛では飲食・会話・洗面・歯磨きなどで激痛が誘発されるので、日常生活が著しく制限されます。
舌咽神経痛:同様の激痛が喉の奥に起こります。
三叉神経痛、舌咽神経痛では飲食・会話・洗面・歯磨きなどで激痛が誘発されるので、日常生活が著しく制限されます。
片側顔面けいれん:片側の目の周り、口の周りに常にけいれんが起こり、ひどくなれば顔が引きつった様になります。痙攣が気になり人前に出るのが億劫になったりします。
いずれの疾患も通常自然治癒は期待できません。
診断について
これらの疾患では、MRI検査で脳神経に対する脳血管の圧迫を確認しますが、最も重要な診断ポイントは上記の様な特徴的な症状を確認することです。なぜなら、これらの疾患と鑑別すべき疾患2),3)が多数あるのと、MRIで圧迫が確認されても必ずしもそれが原因とは限らないからです。当然それらの鑑別疾患には下記の治療は有効ではありません。
2)三叉神経痛の鑑別疾患:非定型顔面(歯)痛、脳腫瘍、帯状疱疹、副鼻腔炎、頸部神経痛、多発性硬化症、など
3)片側顔面けいれんの鑑別疾患: 眼瞼ミオキミア、眼瞼痙攣、顔面チック、顔面ジストニア、など
治療について
三叉神経痛・舌咽神経痛にはカルバマゼピンなどの抗てんかん薬が、片側顔面けいれんに対してはボツリヌス療法など非侵襲的治療法があり、いずれも有効ですが永続的な効果には疑問が残ります。一方、疾患の原因は神経に対する血管の圧迫なので、脳神経外科では根本治療として微小血管減圧術4)が約50年前5)から行われています。小さな(わずか五百円硬貨程度のサイズ)開頭で行う手術(図2A、図2B、図2C)であり、完治率は高く(約90%)6)、永続する脳神経合併症も少ない(2-10%)7)ことはあまり知られていません。
4)Microvascular Decompression (MVD)、神経に対する血管の圧迫を減ずる顕微鏡手術
5)1970年 PJ. Jannetta、 顕微鏡手術を導入して術式を確立
6)三叉神経痛(51例中):92%、片側顔面けいれん(42例中):88% (2020年7月現在)
7)三叉神経痛(同):顔面しびれ7.8%、難聴2% 片側顔面けいれん(同):難聴4.7% 、小倉の執刀例より
図2A 三叉神経痛の手術所見図 血管をテープでつり上げて移動し神経に血管が当たらないようにした
図2B 片側顔面けいれんの手術図 血管をテープでつり上げて移動し、神経に血管が当たらないようにした
図2C 舌咽神経痛の手術図 神経と血管の間に詰め物(テフロンなど)を置き、神経に血管が直接圧迫しないようにした
担当医プロフィール
副院長兼脳神経外科部長小倉 光博
- 経歴・所属学会等
- 昭和63年 和歌山県立医科大学卒
- 和歌山県立医科大学医学部臨床教授
- 医学博士
- 専門分野
- 機能的脳神経外科(パーキンソン病、本態性振戦、ジストニア、難治性疼痛など)
- 三叉神経痛・片側顔面けいれんの治療、認知症、など
- 認定資格等
- 日本脳神経外科学会専門医・指導医
- 日本定位・機能神経外科学会技術認定医
- 日本認知症学会専門医・指導医