心臓血管外科

紹介・特色

当科では血管の外科手術を中心に血管疾患の患者さんの診療を行っています。
血管病は近年非常に増加してきており、足の動脈が詰まる閉塞性動脈硬化症、おなかの大動脈が拡張し破裂する腹部大動脈瘤、足の血管がミミズのようにうきあがってくる下肢静脈瘤などの治療を多数行っています。
基本的には血管疾患は手術によってのみ症状が完全になくなるのですが、同時に手術にはリスク(危険性)も伴いますのでそれぞれの患者さんにとって最も安全で効果的な治療法を選択するようにしています。
自分の親や子供が病気になったときと同じように、患者さんや家族の方々の日常の暮らしが最も向上するような診療を心がけています。

実績につきましては「各科症例数」をご覧ください

来院の目安

次のような症状の方は一度ご相談ください。

  • 歩行するとある一定の距離でかならずふくらはぎやおしりの筋肉がいたくなる、はってくる。しかし少し休憩すると元に戻る
  • 足の指の先やむこうずねに自然に傷ができ、治療をしてもなかなかなおらない
  • 足の指先が青黒くなり痛む
  • 足に血管が浮き出ておりいつも足がだるい、重い、こむら返りがよくおこる
  • おなかに拍動するこぶが触れる、痛みなどの症状はない

外科・心臓血管外科における外科専門医修練

当院外科・心臓血管外科では若手外科医の教育にも力をいれており、積極的に外科専門医取得に即した修練を短期間でできるよう考慮しております。
症例数が多いので1年の研修で外科専門医に必要な修練のほとんどが経験できます。
詳しくはこちらへ

外来診療日について

診察は毎週月曜日・金曜日が畑田、水曜日・木曜日に栗山が行っております。
できればかかりつけ医の先生の紹介状をもって予約をとってきていただけると最も効率よく診察が出来ます。
ただし緊急の場合はいつでも病院へ来ていただければ当直医の初期診察の後必要なら当科に連絡が入るようになっています。

開業医の先生へ

患者のご紹介は随時受け付けております。
当院地域連携室にご連絡いただき予約を取っていただければ幸いです。
ご参考までに各疾患のご紹介の目安を掲載いたしますが、これ以外で軽症や疑い症例であってもとりあえずご紹介いただければ診察させていただきますのでお気軽にご相談ください。
また電話でも随時ご連絡ください。

データベース事業に参加

外科・心臓血管外科では、2011年1月1日より専門医制度と連携したデータベース事業に参加しています。
これは患者さんに、より適切な医療、最善の医療を提供するために本邦で開始された取り組みです。

主治医の先生へ

血管病に関するご紹介、お問い合せは常時お受け致しますが、下記のような時点でご本人さんにご説明の上、お越しいただくと最も効率的に治療が可能かと存じますのでご参照ください。

動脈疾患
急性動脈血栓塞栓症

・下肢痛、脈拍不触の方→緊急に(当日手術の可能性あり)

閉塞性動脈硬化症

・安静時痛、下肢潰瘍、壊死のある方→なるべく早期に
・間欠性跛行で脈拍弱い方→都合のよい日に

腹部大動脈瘤

・突然の腹痛でエコー、CTで動脈瘤のある方(破裂)→緊急に(当日手術)
・無症状でCT上4cm以上ある方→都合のよい日に

※急性期の場合はそのまま入院となり検査、手術に移行します。
慢性の方は検査や手術のための入院を予約いたします。

静脈疾患
深部静脈血栓症

・1週間以内の発症→なるべく早期に
・1週間以上経過→できれば早期に

下肢静脈瘤

・下肢痛のある方、潰瘍のある方→なるべく早期に
・慢性的な瘤の方→都合のよい日に

※可能なら当日血管エコーをおこない確定診断をつけますができない日もあり検査日予約をして帰宅していただくこともあります。
発症早期の深部静脈血栓症はそのまま入院していただき抗凝固療法を開始いたします。

診療疾患

動脈疾患
下肢閉塞性動脈硬化症

「動脈硬化で足がくさってくる!」
動脈とは酸素をたくさん持った血液を心臓からからだのすみずみにまでおくるための血管です。
この動脈がいろんな要因によって硬くなってくることを動脈硬化といいます。
硬くなるだけならいいのですが動脈壁が徐々に内腔に向かって厚くなり(主に血中の脂肪成分が付着してくる)血液の通る道を狭くするとさまざまな障害をきたします。
足の動脈がつまってくる(「閉塞性動脈硬化症」といいます)と以下のような症状がでてきます。
第一段階:足が冷たく感じる、第二段階:ある距離を歩くと必ず足がだるくなる、第三段階:じっとしていても足が痛くなる、第四段階:足の先から細胞が死んでくる(“くさってくる”)。
第一、第二段階で発見されれば薬を飲むことや運動をすることで進行を遅らせることができますが、第三段階や第四段階までくるとできるだけ早期に足の動脈の手術をしなければ膝や太ももで足を切断しないといけなくなることもあります。
足の動脈の手術というのは狭くなった、またはつまった部分の動脈を飛び越して新たな血液の道筋をつける「動脈バイパス術」です。
この手術がうまくいくとどんな治療でも治らなかった足先の痛みや傷がみるみるうちによくなり、退院して日常の生活にもどれる、買い物や旅行にもいけるようになります。ですからこの病気は早期に発見して適切な治療を受けることが一番です。気になる方はいつも診てもらっている先生に相談して必要なら血管の専門病院に紹介してもらってください。しかし一番重要なことは動脈硬化を進行させないような日々の生活様式であることもお忘れなく。

腹部大動脈瘤

「知らないうちにおなかの中に爆弾が!」
動脈硬化では細い血管はより細くなりつまってくるのですが、太い血管では内腔がだんだん拡がってくることがあります。
おなかの中の大動脈が拡張してくる腹部大動脈瘤がその病気です。
膨れてくるとどうなるか、風船をどんどん吹いて膨らませていくこと想像してください。
膨らむにつれて壁が薄くなり最後には破裂してしまいます。
動脈瘤も一定の大きさ以上になると破裂して血液がおなかのなかにでてしまい血圧が低下して、放っておくと死にいたります。
この病気がむずかしいのは破裂するまでほとんど症状がでないので知らず知らずのうちに大きくなっていることです。
たまたま他の検査で見つかる人は幸運で、無症状のうちに手術をして膨らんだ血管を人工血管に取り替えることで破裂を未然に防ぐことができます。
無症状のうちにこの手術をするとほとんどの方が約10日間で元の生活にもどれるのですが、破裂してからでは3分の1ぐらいの人しか死を免れることができません。
また、この病気には同じ動脈硬化によって起こってくる心臓の病気(狭心症)の合併が非常に多く(当院では約7割)、動脈瘤とともに心臓のチェックも必要となってきます。
しかし逆に言うと動脈瘤がわかったおかげで将来発症するかもしれない心臓病も事前に発見され治療が開始できる、ということになります。
まさに早期発見で命が助かる病気です。

急性四肢動脈閉塞

「突然足に血が通わない!」
動脈硬化がある方はもちろん全く動脈硬化がない方でも不整脈や心疾患のある方は突然手足に血が通わなくなり激しい痛み、冷感、しびれなどが起こってくることがあります。
これは血管の中でできた血の塊が細い四肢の動脈をふさいでしまうからです。
不整脈や弁膜症のある方は知らず知らずのうちに心臓の中に血の塊ができており何かの拍子にこれが血管内に流れ出して手足の動脈を詰めてしまうこともあります。
この疾患はつい昨日まで普通に生活していた方にも突然起こることがあり、早急にこの血の塊をとって血流を再開しなければ手足が壊死におちいって「腐って」しまうばかりか下手をすると命の問題になることもあります。
できれば発症数時間以内に血管専門医にかかって緊急手術をおこなうようにしなければなりません。
また不整脈や弁膜症のある方は普段から専門医にかかり抗凝固薬などを服用して予防しなければなりません。
当科では年間約80例の動脈手術を行っております。
これ以外にも血管内からカテーテルを用いて狭窄や閉塞を広げる血管内治療を約30例行っております。
また手術以外にも有効な方法がある場合は積極的にそれらを組み入れて患者さんが一番安全で効果的、かつ満足していただける治療を提供できるよう努力しております。
新しい治療法も積極的に取り入れ、血管新生療法、遺伝子治療、LDL吸着療法、Maggot(ウジムシ)療法などもそれぞれの患者さんに対し適応を検討し実施しています。
当院では心臓血管外科だけでなく内科や循環器科、脳神経外科、腎センターとも密に連絡をとり、動脈硬化による疾患をすべて予防、治療する体制をとっています。

※動脈疾患に関する詳細は下記よりPDFファイルでご覧頂けます。
閉塞性動脈硬化症の患者さんへ
動脈硬化症の患者さんへ
腹部大動脈瘤の患者さんへ

静脈疾患
下肢静脈瘤「足のみみず腫れは放っておいても大丈夫?」
足の血管がミミズのように浮き出てきて足のだるさやこむら返りがおこりやすくなることがあります。
このような病気を下肢静脈瘤といいます。
この病気は血液が足から心臓にもどっていく静脈という血管の異常で動脈は通常は正常です。
従って静脈瘤によって足が「くさってくる」ことはまずありません。
静脈瘤は見た目が悪いことのほか足のだるさ、むくみ、かゆみ、こむら返り、色素沈着などがおこります。
足がくさってくることはないといいましたが、重症になるとむこうずねの部分に潰瘍ができて治らない、ということもあります。
これらの症状はすべて静脈の機能不全で足に血液がうったいするためにおこってくるものです。
立ち仕事の多い人、妊娠、出産後の女性などに多いのが特徴です。
軽症なら足のむくみをとるためのきつめの医療用ストッキングがありますのでこれをはいておれば症状は楽になります。
しかし中等度以上の症状の方はなんらかの手術を受けないと治りません。
当科ではできるだけ患者さんの日常生活の負担にならないように日帰りの手術で治療するようにしておりますが、重症の方には血管内視鏡補助下弁形成術という新しい手術法も導入して成果をあげています。
長年むこうずねに潰瘍ができているが各種治療でもなかなか治らない方もこれらの静脈疾患が隠れている場合があります。
そのような方はかかりつけのお医者さんとよく相談されて受診をご考慮ください。
※ 静脈疾患に関する詳細は下記よりPDFファイルでご覧頂けます。
下肢静脈瘤の患者さんへ
リンパ管疾患
下肢腫脹の原因のひとつにリンパ管の閉塞などの疾患があります。
毎週火曜日(午前)に、すさみ病院の高垣医師が非常勤で外来を行い、当疾患を担当します。
理学療法士の岩田氏と共にリンパドレナージなどの複合理学療法を行っています。症例によってはすさみ病院とていけんし、入院でリンパドレナージの指導も行っています。
四肢リンパ浮腫に対する治療法

など、上記の一例以外にも診療しております。

主な検査・医療設備等

検査
  • 足部血圧測定(ABI、TBI)
  • 血管エコー検査
  • 指尖脈波検査
  • CT
  • MRI(MR angiography)
  • 血管造影検査
  • レーザードップラー皮膚還流圧測定(SPP)

検査画像

治療
  • 各種血管手術
  • 血管内治療(循環器内科と共同治療)(血管拡張術、血栓溶解療法)
  • 内視鏡手術(深部静脈弁形成術)
  • 日帰り手術(静脈瘤手術)
  • Maggot療法(うじむし治療)
  • 陰圧閉鎖療法
  • LDL吸着療法(腎センターと共同治療)
  • 低侵襲血管外科手術(小切開手術、ハイブリッド治療)
血管内焼灼術

血管内焼灼術は、血液の逆流がある静脈内にカテーテルを挿入し、血管にレーザーまたはラジオ波を照射し静脈を閉塞させる治療法です。適応としては抜去術(ストリッピング術)とほぼ同じで、伏在静脈に弁不全を有する一次性下肢静脈瘤が適応となります。
レーザーファイバーを穿刺で挿入するために、低侵襲であり、美容的効果が高いと言った利点があります。
抜去術(ストリッピング術)では出来なかった抗凝固療法・抗血小板療法中の患者や、高度肥満患者でも適応となります。
術後に皮下出血や疼痛を認めることがありますが、約2~3週間で改善します。
重篤な合併症としては、焼灼による血栓が深部静脈まで形成される深部静脈血栓症がありますが、0.1%以下と稀です。
当院では、同手術を300例以上経験した日本静脈学会認定下肢静脈瘤血管内焼灼術指導医がすべて行います。

内視鏡下筋膜下穿通枝切離術

うっ滞性皮膚炎・潰瘍になった場合には、エコーなどでよく調べてみると表在の静脈瘤だけではなくその皮膚病変のすぐ近くに不全穿通枝と呼ばれる深部静脈との交通枝がありその逆流が皮膚症状の原因となっているケースもあります。
皮膚症状の原因となる不全穿通枝が見られた場合はその逆流を遮断するのが治療となりますが、炎症のある部分の皮膚切開をする場合は要注意でメスを入れた所が新たに潰瘍になり難治となることがあります。
そこで細い内視鏡を使って少し離れた部位からアプローチして痛んだ皮膚の下にある穿通枝を遮断する内視鏡下筋膜下不全穿通枝切離術と呼ばれる治療法があります。
この手術は厚生労働省認可の施設でのみ可能となっており、当院は和歌山県内で唯一の施設です。

内視鏡下筋膜下穿通枝切離術

スタッフ紹介

部長畑田 充俊

略歴:所属学会等
平成9年 和歌山県立医科大学卒業
日本外科学会指導医・専門医
日本脈管学会専門医
循環器専門医
日本静脈学会下肢静脈瘤血管内レーザー焼灼術指導医・実施医
認定資格等
日本血管外科学会血管内治療認定医
リンパ浮腫治療士

医長栗山 雄幸

経歴・所属学会等
平成11年 和歌山県立医科大学卒業
日本外科学会専門医
日本脈管学会専門医
下肢静脈瘤血管内レーザー焼灼術実施医・指導医

済生会和歌山病院

  • 〒640-8158 和歌山県和歌山市十二番丁45番地
  • TEL : 073-424-5185
  • FAX : 073-425-6485

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