医療安全管理指針

1.基本方針

高度に細分化・複雑化している医療環境の中で、医療事故を防止することは、医療を提供する側の義務である。
しかし、患者の人権を守り、良質の医療を提供する立場から、医療従事者個人の努力に依存した事故防止のみでは対応に限界がある。
病院全体としての組織的な事故防止対策を実施していくことが必要である。
当院は、平成7年8月事故防止対策委員会を設置し、事故対策に取り組んで来たが、不幸にも何件かの医療事故を引き起こした。
これらの事故発生の教訓を忘れること無く、初期治療、患者や家族に対する十分な説明、関係部署への速やかな連絡、報告書の提出等を実践して行く事が必要である。
平成12年9月、日常業務の分析・評価、予防対策の立案、職員への安全管理の研修を組織的に行い、事故予防の強化を図るため、事故予防対策委員会を発足。
平成14年8月、安全対策委員会へと名称変更を行い、活動範囲の拡大を図り、平成15年10月の移転時以降も継続して行っている。
平成21年4月より、医療事故防止への取り組みに向けて、より一層の強化を図る事を目的として、医療安全管理室を立ち上げた。
同時に医療安全管理室室長(専従リスクマネージャー)を配置し、組織横断的に活動する体制とした。
安全対策委員会委員を室員(兼任リスクマネージャー)とし、事故の予防・防止に取り組んで行く。

2.用語の定義

本指針で使用する主な用語の定義は、以下のとおりとする。

  • 医療事故
    医療の過程において患者に発生した望ましくない事象。また、医療提供側の過失の有無は問わず、不可抗力と思われる事象も含む。
  • 当院
    済生会和歌山病院
  • 職員
    当院に勤務する医師、看護師、薬剤師、検査技師、事務職員等あらゆる職種を含む。
  • 医療安全管理者(専従リスクマネージャー)
    医療安全管理に必要な知識および技能を有する職員であって、病院長の任命により、病院全体の医療安全管理を中心的に担当する者。
  • 安全対策委員(兼任リスクマネージャー)
    各部門・部署で医療安全管理活動を推進すると共に、組織横断的に院内全体の安全対策の推進業務を行う者。
    各部門・部署の責任者が任命する。
  • インシデント(はっとメモ)
    日常の医療の現場で、患者に被害を及ぼすことはなかったが、ヒヤリとしたり、ハッとした出来事をさし、次のような場合が該当する。 (1)ある医療行為が患者には実施されそうになったが、仮に実施されたとすれば、何らかの被害が予測される場合。
    (2)ある医療行為が実施されたが、結果的として被害がなく、またその後の観察も不要であった場合。
  • アクシデント(医療事故)
    患者が本来持っていた疾病や体質などの基礎的条件によるものではなく、医療行為においてその目的に反して生じた有害な事象をさす。
    その中には、医療内容に問題があって起きたもの(過失による医療事故:医療過誤)、医療内容に問題がないにもかかわらず起きたもの(過失のない医療事故)とがある。
  • インシデント、アクシデントのレベル
    インシデント、アクシデントの発生により生じた影響の大きさに応じて、そのレベルを表のとおり設定する。
    レベル0:
    間違ったことが発生したが、実施されなかった場合。
    レベル1:
    事故が生じたが患者への実害なし。
    レベル2:
    事故が生じたが患者の治療は必要なし。
    観察強化、検査等が必要。
    レベル3軽度:
    事故が生じ、患者の治療・処置の必要性が生じた場合。
    レベル3重度:
    事故が生じ、入院日数の増加等濃厚な患者の治療・処置の必要性が生じた場合。
    レベル4:
    事故により、深刻な病状悪化または、治療の経過に重大な影響をもたらした場合。
    生活に影響する高度な後遺症が残る可能性が生じた場合。
    レベル5:
    事故が死因となった場合。
    *レベル0~3軽度までをインシデント(はっとメモ)、レベル3重度以上をアクシデント(事故)と定義する。
  • ハイリスクな診療行為
    当院では、ハイリスクな診療行為を以下とする。
    手術全般、血管内手術、内視鏡的手術、輸血、がん化学療法、人工呼吸管理。

3.組織と体制

当院では、医療安全管理のために組織運営の責任者である病院長を中心とし、以下の医療安全管理体制を敷いている。

  • 医療の安全性の確保と適切な医療を提供するとともに、病院機能の向上と運営改善に資するために、医療事故防止対策委員会・安全対策委員会・医療安全管理室を設置する。
  • 医療事故防止対策委員会は、当院における医療事故を防止し、医療紛争の適切な処理を図るために設置する。
    委員長は院長、副委員長には副院長があたり、委員は委員長が指名する。
    委員会は必要時、委員長が招集する。
  • 安全対策委員会は、医療安全管理室と連携し、発生した医療事故および発生の危険があった事例に関わる情報収集・分析を行い、医療事故防止策を検討する。
  • 医療安全管理室は、医療安全を組織横断的に推進し、適切かつ効率的に事故防止を図り、安全管理を行う。
役割
  • 安全管理部門の業務に関する企画立案及び評価を行なう。
  • 定期的に院内を巡回し各部門における医療安全対策の実施状況を把握・分析し、医療安全確保のために必要な業務改善等の具体的な対策を推進する。
  • 各部門における安全対策委員への支援を行なう。
  • 医療安全対策体制確保のため、各部門との調整を行なう。
  • 医療安全対策に係る体制を確保するための職員研修を企画・実施する。
  • 相談窓口等の担当者と密接な連携を図り、医療安全対策に係る患者・家族の相談に適切に応じる体制を支援する。

4.報告

報告の目的は、報告されたインシデント・アクシデントについて原因を分析し、再発を防ぐことである。
また、個人責任を追及するという目的ではなく、問題の原因解明と再発防止対策の検討に有用な情報を収集することである。

  • 医療事故(アクシデント)および医療過誤については、医療事故発生時の対応に基づき、発生後直ちに口頭にて所属長に報告し、所属長は医療安全管理室へ報告する。
    事故報告書は12時間以内に提出する。
  • インシデント報告は、発生48時間以内に入力し、所属長または安全対策委員へ報告する。
  • 医療事故(アクシデント)発生時、医療安全管理室室長は速やかに事務部長および病院長に報告し、指示を仰ぐ。
  • 重大な医療事故の発生時には,病院長が医療事故防止対策委員会を緊急に開催する。

5.医療事故発生時の対応

1.患者・家族への対応
  • 医療側の過失によるか否かを問わず、患者に望ましくない事象が生じた場合には可能な限り、まず当院内の総力を結集して、患者の救命と被害の拡大防止に全力を尽くす。
    また、当院内のみでの対応が不可能と判断された場合には、遅滞なく他の専門機関の応援を求め、必要なあらゆる情報、資材、人材の提供を受ける。
  • 事故発生前後に当該患者に使用した薬剤、器具、医療機器等の設定値については、事実確認および事故発生要因検討に活用するために事故発生時の原状を保存する。
  • 事故発生後、直ちに病院の管理者、事故の関係者が集まり、事実を詳細に調査する。
    事故の原因、事故発生後の処置内容並びに対応を検討し、病院としての見解をまとめる。
    それに基づいて速やかに患者並び家族に誠意をもって説明する。
  • 説明は診療部長あるいは代行者が行う。
  • 説明は必ず関連する医療従事者を同席させ複数で行う。
  • 説明は事実経過についてのみ誠意をもって述べる。
  • 患者、家族の心情に配慮し、過度な防御的態度を慎み、節度をもって対応する。
  • 念書等の提出要求に関しては上司及び病院長の判断を仰ぎ、慎重に対応する。
  • 医療スタッフ(医師・看護師・医療支援スタッフ)は、医療事故に伴う医療費請求等に言及することを慎み、医療安全管理室を窓口にする。
2.診療録・看護記録等への記録
診療録・看護記録等には、事故の経時的な経過を正確に記載する。
説明日時、説明者及び出席者の名前、説明を受けた人々の名前、患者との続柄、説明内容、質疑応答の内容を診療録や病状説明用紙などに記録する。
3.医療事故調査・支援センターへの報告
  • 当院に勤務する医療従事者が提供した医療に起因する、又は起因すると疑われる死亡であって、当院管理者が当該死亡を予期しなかった医療事故については、「医療事故調査・支援センター」へ遅滞なく報告を行う。
  • 報告の対象となるかどうかを管理者が判断するに当たっては、当該医療事故に関わった医療従事者等から十分事情を聴取した上で、組織として判断する。
  • その後、医療事故調査委員会を設置し、院内で事故調査を行い、医療事故の結果をとりまとめ、あらためて医療事故調査・支援センターへ報告する。
4.院内事故調査委員会の役割
院内事故調査委員会の役割は、公正性と透明性が担保された組織により、事故の事実を確認、原因究明を行うことである。
可能であれば、再発防止策を提案するが、具体的な対策は、別の組織(委員会)で検討する。
個人の責任追及等はしない。
5.院内事故調査委員会の構成員
  • 副院長、事務部長、看護部長、診療技術部長、医療安全管理者、事故に関連する部署長(診療科部長、師長等)。
  • 委員長には副院長があたり、委員長は必要があると認めた場合、委員以外の職員の出席を求めることができる。
6.関係省庁への報告
重大事例については、医療事故防止対策委員会で検討し、報告先の範囲を速やかに決定する。
報告先としては、医療事故調査・支援センター、済生会本部、財団法人日本医療機能評価機構医療事故防止センター、保健所、県庁医務課、警察署および報道機関がある。
医療安全管理室は、重大事例について、速やかに財団法人日本医療機能評価機構医療事故防止センター、厚生労働省近畿厚生局および和歌山県医務課へ報告する。

6.医療安全管理のための職員研修

  • 安全対策委員会は、予め作成した研修計画にしたがい、概ね6カ月に1回、全職員を対象とした医療安全管理のための研修を定期的に実施する。
  • 研修は、医療安全管理の基本的な考え方、事故防止の具体的な手法等を全職員に周知徹底することを通じて、職員個々の安全意識の向上を図るとともに、当院全体の医療安全を向上させることを目的とする。
  • 員は、研修が実施される際には、極力、受講するよう努めなくてはならない。

7.患者相談窓口の設置

当院に寄せられる患者の苦情等について迅速に対応するとともに、患者の意見や期待を当院の医療安全管理に積極的に活用および反映させるため、患者相談窓口を設置する。

8.本指針の見直し・改正

安全対策委員会は少なくとも毎年1回以上、本指針の見直しを議事として取り上げ検討するものとする。

改訂

初回 平成14年 8月27日

  • 改訂日
  • 平成17年10月16日
  • 平成21年 4月 1日
  • 平成23年 2月 1日
  • 平成27年10月 1日

済生会和歌山病院

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